あのさ読んでくれるのは嬉しいけどさ、店にも来てよね。買ってよね。
10月8日は、未だ暗闇の早朝5:05。トスカーナ州プラートを目指し、始発の列車に乗り込んだ。(早朝の行動がたやすいのは、いつまでも時差ボケが治らないこの軟弱体質を、逆手に利用していたから。)
隣のシートに女子高生(多分)が座る。
送りに来たお父さんが窓の外から手を振る。
娘、無視。
お父さんと僕、目が合う。
目を逸らす。
依然、お父さんは手を振っている。
娘、無視。
そして列車は出発する。
依然、お父さんは手を振っている。
なんという悲哀。
目的地プラートに着いたのは10:30。5時間半の長旅だった。
列車が遅れ、乗り換えのタイミングもズレて、ズレてズレて。
45分遅れだと?お前、列車をナメてんのか?そう言わざるを得ないズラ。
何のために早起きして始発に乗ったと思ってるズラ。
しかも、しれっとプラットホーム18番に入りやがって、危うく乗れないとこだった。
プラートはフィレンツェ近郊の小さな町。その駅前から出る1時間に1本しかない希少なバスに飛び乗りて、デッドストックの生地を揃える問屋へ行く。
最寄りのバス停から徒歩20分。
TS氏との次のアイデアのためのリサーチも兼ねてるんだけど、今の所、その世界はまだ広すぎて生地を選びきれない。
そして、僕は途方に暮れる。
夕方になり、急いでフィレンツェに向かう。
一年以上寝かしてしまったアイデアを、今一度掘り起こし、再開をするためだ。
まあ、そんな企画はゴロゴロあるのだけれども(汗)
そして夜は、フィレンツェ在住の職人さん達との夕食。
こんなにも楽しく、心安らぎ、かつ、発奮できる機会というのは、そう稀である。
朽ちる手前の焼けた脂の香ばしさ、口の中いっぱいにビステッカを。それをトスカーナのワインで流し込みたまう。
ベッドに入ったのは10月9日午前2時。そして、午前6時の列車に乗る。