未だ明けぬ夜の、その地平より少し先にいる陽が放つ赤みを、まわりの雲が反射させ、夜空に混ざり始める。そのほんの、1日のうちのたった数瞬の間、これはその藍だ。
そして、山あいの、朝もやのように毛羽たつ繊維は、着込むごとに擦れて落ちる。そしていづれに、生地に残った織り成す繊維は、研がれ溶けるかのように、光沢を増してゆく。
それと同時に、内に密かに居た亜麻色は、ほんの少しづつ顔を出すに違いなく、それは貴方の、日々の暮らしの動作の癖に、寄り添って浮かび上がる。
こうも詩を吟じたくなるほどに、ある種、ロマンの生地と言っていい。
そんな生地を、欧州での出張時に探しまわっていた。がしかし、なかなかそれは残っておらずに、半ば諦めかけていた時。日本の友人からの紹介で、目黒のアンティークショップで見つけたのだから、いささか拍子が抜けるところではあるけれど、まぁ、それはね。速攻で抑えるよね。
1930年代前後、90歳近いデッドストック、インディゴリネン。
兎にも角にも、生地は手に入った。あとはこれをどう仕立てましょう。
モデリストのアトリエコートは最高にど真ん中だし、大きめに作るドライビングダスターコートもシビれる。フレンチワークよろしくザックリとカジュアル。短パン。あと、真逆に、フルハンドメイドのセットアップのテイラーメイドスーツ、これはヤバくないですか?
その仕立てに依って、生地の加工を変えてもいいのかもしれない。洗って揉んでシボ感を出すもいいし、スポンジィングをかけ、物性を安定させたのちに表面をビシっと揃えるもいい。想像するだけで楽しい。。。
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ん、この生地で作ったサンプル?まだないよ。さっき生地が届いたところだもの。
ん、リネンだから春夏じゃないかって?そんなの知らない。
明日から。