#46 ANSNAM 旅する鞄

Jul 28, 2017

時々に僕は、旅慣れしてると勘違いされる。確かに、二十代前半は長期旅行していたし、今もこうして年に何度か海外へ行く。がしかし、決して僕は旅に慣れていない。というか、怖い。
空港での搭乗もマゴマゴで、いつも乗り遅れそうにドタバタしちゃう。思ってたのと違う料理が出てくることもシバシバで。(パスタといえば細長い麺が当たり前でしょうよ。なんで小さいネジ型とかホラ貝みたいのが出てくんのよ。なんで勝手に肉パオってんのよぉ。ったく。)
街歩きでは、地図を持ってしても迷ってウロウロ。恐怖でしかない。不甲斐なくて泣けてくる。成田離婚(死語)されそうなデザイナー第一位だ多分。いつの日か中田ヒデばりに颯爽と、空港をカッポしたいものだ。あ、ヒデはデザイナーじゃないか、ん、何なんだ彼は。

でこの日も、その例に漏れずに、そうだったわけ。
フィレンツェはすでに三回か四回も来ているから、ほぼほぼの土地勘、距離感、方向感覚、わかってきてた。街の広さ、大体にして我が故郷、是政三丁目から六丁目くらい。だからどこへも歩ける距離なわけ。ポンテベッキオが是政橋なら、アルノ川は多摩川さ。
で、ほらもう、フィレンツェ通だから、歩いてばかりも飽きるっしよ。刺激欲しいっしょ。だから乗るよね、ちゅうバス。けど是政と違うのはその路線数。結構あるわけ。
で今回、目的の場所までの最寄りルート聞いたんだけど、いざバス停に着いたらさ、忘れるよね。そ。ネットも繋がらないし。ね。何度も色褪せたバスマップを確認し、記憶の糸を手繰り寄せ、えいままよと乗り込む。すでにアポイントの時間だ。まあ、バスに乗れば、早いもんさ。すぐ着くさ。

しばらくすると、バスは行きたい方角から急に進路を変えた。が、まだ焦らないよ僕は。古い町並み旧市街、細い道が多くてね、一方通行ばかりなの。だからよく遠回りをするわけ。それがヨーロッパの車道さ。
けれどもソウコウするうちに、目的地はミルミル遠ざかる。あれぇ、妙に変だなぁ。いつしかバスは、アルノ川を渡ろうとしているの。そこでワタシ気づいちゃったんです、これ逆方向だ。
素知らぬ顔で、多摩川を渡りきったところで、ちゅうバスを降りる。仕方なくジェラートを食べながら是政橋を渡り戻る。中央駅のバスターミナルまでテクテク戻る。もうすでに、時間の概念は消えていた。


1時間以上遅れて着いた先、カバン職人さんの工房だ。
(続く。いや、まだ始まってもいないか)


小旅行バッグとブリーフケース。明日から。
夜に写真アップします。