#46 ANSNAM 旅する鞄 チャプター2

Jul 28, 2017

とにかく、でかい。
もし、僕がこの人の息子だったらきっと、お風呂でその背中を洗う時、面積の広さに絶望し、風呂場の床で泣き伏すだろう。横にも、縦にも、只ひたすらに、でかいんだ。
そんな人の作る鞄。
さも大胆な鞄なんだろうと思っていたら、なんとも繊細かつ丁寧な鞄だった。
あ、いやしかし、これは大胆でもある。ともすれば、レディーライクになるところを寸のところで、彼の個性がそれを抑え込む。剛であり、柔だコレ。絶妙なカーブの描き方、コバの塗り、縫製のふくらみ、構成バランス。技術とセンスを要するやつだコレ。上品で、豊かで、贅沢な作りだと言っていい。
彼と話すと、その鞄の持つ匂いを理解できた。声は小さくて控えめな物言いだけど、確固たる自信が保たれていて。目指すべき、行き先が見えてる人は、強い。
現在は、個人受注しか受け付けていない、完全オーダーメイド。そんな方に、無理を言い、ANSNAMの鞄を作ってもらったわけ。
 以前の小旅行用のバッグからの改良バージョン。というか、これはもう別物と言っていい。ハンドルは前回とは逆に、細く。肩に掛けられる長さはそのままに。ファスナーをも取り払い、シンプルな3ピース構造。
そして新アイテムは、ブリーフケース。このニュアンス、伝わらないね写真では。持つとシックリ、わかります。ステッチの一針一針、ハンドルのわずかな曲線。
使用するは、GUIDI社のベイビーカーフ(いろんな革、見てるけど、結局あなたに戻ってきちゃうの。やっぱこの人だなって想っちゃうの。もう、しようがないのっ)。そんなあの革が、こんな雰囲気に上がるなんて。いわゆるキレイ目の世界とは、相容れない素材なのかと思いきやの、この出来。世にある高級メゾンとも、アルチザン系ともまるで違う。この醸しをどう説明し、位置づけるべくか。ベイビーカーフの木目細やかさと、それに同居する異様な空気。どうにも隠しきれてない、謎の質感。
製作者の彼が、GUIDIのその特性を理解する人間だからこそ、ここに仕上がれるんだと思う。この感覚は、いくら長時間説明しても、伝わらない人には理解しえない感覚で。(だから本当はもう、彼とご飯食べに行く必要はないんだけれども、話してて楽しいから。また肉を食べに行きたいと、思うわけ。経費で落ちっし)
この鞄らが、ここからまた、使用を経て、皮脂が塗りこまれ、その自然な照りが出て、日に焼けて、どう変化をし育っていくか。

小旅行バッグ:¥270,000(税抜き予価)
ブリーフケース:¥200,000(税抜き予価)
納期:9ヶ月


ANSNAM cedar (アンスナム シダー)
108-0071
東京都港区白金台5-13-14 2階
定休日:火、水
営業時間:12〜19:00


tel: 03-6721-9192
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