#125 プロジェクトブランド アクト2 前編

May 9, 2018

つい昔、と言っても3年くらい前まで、LYTHAというブランドをやっていた。これはANSNAMとは別に、私が行っていたプロジェクトブランドで、客層の分母の多いところまで価格帯を下げるという、ただのセカンドブランドとは異なる意味合いのものだった。ANSNAMが服のみをデザインし、先に進もうとするのに対して、このブロジェクトブランドは、ハードウェア(システムの構成)のデザインを試行する場所。

アクト1のLYTHAでは、アパレル産業の川上から川下という、立場的意識の流れの構造に踏み入り、フラットにし、服作りの垣根をなくした。
その仕組みはまず、生地や縫製などの生産工場(川上)からコレクションサンプルの開発費を一部負担してもらう。そして、ANSNAM(川下)からは製品タグやウェブサイトに生産背景の開示と工場の連絡先を掲示、また、役割を終えた後のサンプルは工場へ無料で譲渡する。
これに依り、ブランド側は、コレクション製作時の初期投資リスクを減少させることが可能になり、それに伴い、健全な利益率を保持したままに、店頭価格設定を下げることが出来る。同時に工場さん達は、店頭の商品やweb上で宣伝や営業活動が自動的に行われ、実質的なプレゼンテーション、差別化、また、営業に於ける人件費や交通費の削減につながる。そして、先述のサンプル開発費負担分の回収が充分に可能になる。
こうして、ペイフォワードの思想だったり、利他主義を展開、循環させることで、形成を変化させ、アパレル業界の互助装置として機能させるというシステムデザインがLYTHAだった。

が、やっていくうちにさ、LYTHAは段々と、ANSNAMのクオリティや、デザインさえも重なってきて、あんま分ける意味なくなってきちゃってさ、どっちでもよくなっちゃった(笑)。他にもちょっと理由あってさ、まぁ、とりあえず止めちゃった。えへへ。

さて、それから時が経ち、今じゃまさかの白金台に店は移転。ついに、超絶に苦手だったオペレーション管理してくれる人も入ってくれた。ということで、またプロジェクトブランドを立ち上げます。LYTHAとはまた違う、以前から温めていたアイデアを形に。
(後半に続く)