#35 CARLO RIVA & Bonfanti

May 20, 2017



幻のシャツ生地。シャツ生地の宝石。名前はよく聞くけど、実物を見たことがない。
など、伝説だけが一人歩きしている。本当にその価値はあるのか。では、実際にその工場行ってみようか。

ミラノから列車で1時間弱。ヨーロッパ随一の、上流階級の方々が訪れる避暑地。コモ湖。その湖畔に、隣接するように、世界屈指の生地工場が数軒、ある。
そのうちの一つが、CARLO RIVA。

とはいえ、カルロリーバはすでに何年も前、シルク生地メーカーに買収されており、その広い工場の一部で、肩身狭いながらものんびりと、ダンダンダんだんだと、織られでるんだ。
木械式織機。誤字ではない。この織機、メインパーツが木なの。これを使い、シャトル運びは手掴み出来そうなスピードで、シャツ地を織り上げて行く。1日に何メーター織れるかは聞いてない。僕がいた間に、1センチも織れてないから、高が知れているだろう。
スイス紡績のエジプト綿(銘柄は忘れた)の170/2。で、90センチ幅。
繊細で、上品で、柔らか。触らなくてもわかる。
これはなぜかしらんと、帰国後、いろんな人たちと話した。
だって、日本にも同じようなシャトル織機はあるのだ。
「木が織りの衝撃を吸収し、ちょうど良い風合いにする」
「木械のネジの調整具合が絶妙」
「綿の原料が良い」
「仕上げ加工の水が違う」
「床の大理石が衝撃を吸収する」
など、どれも正解なようだが、確証には至らなかった。
土地柄、環境、職人、考え方、材料、その時間。それぞれ違えば、それぞれの正義も違う。
生地作りとは、本当に面白い。



そして、そこから東に5kmくらいだろうか。その先にもう一軒。上述の、買収による規模縮小の折に、カルロリーバの織機を数台、買い取った人がいる。
Bonfanti。
同じ織機を用いて、海島綿をはじめ、様々な種類と番手の糸を違えて揃え、色々な表情のシャツ地を作っている。
つまり、カルロリーバとは異父兄弟のようなものだ。
そう、「製糸」が違う。

そんな2つの工場から生地を分けてもらい、来週末、シャツ2型を発表します。