#36 PF

May 26, 2017

Premium Fridayだ、今日は。
きっと、一流企業のリーマンなんかは、午後3時に上がって、友達とハッピーアワーで一杯ひっかけて、「じゃ行くわ」とか言って先に抜けて、4時の小田急ロマンスカーで彼女としっぽり箱根だろうさ。ゆっくり温泉浸かって、翌日はのんびり箱根彫刻の森とか散歩して、楽しかろうさ。

僕はというと、今日でちょうど一ヶ月だ。どうしても休みが取れない。
さらに、風邪を引いてちょうど一ヶ月だ。どうにも咳が止まらない。当初は腹筋が痛かったのに、今では肺胞が痛い。死が迫る。

そんな僕のプレミアムなフライデーモーニンは、土砂降りから始まり、着用する服の選択を誤り、電車内で早速の滝汗流れりだった。
工場さんに直行で、シャツのボタンホールを開けてもらい、コインランドリーに寄り、洗いをかけ、こだわりのW脱水を施す。やっとアトリエに着き、早速そのシャツを揉む。で、干す。
落ち着いたところでふと、テーブル上の税務だかのハガキに目をやる。督促状だ。「5月26日納付期限」。今日はプレミアムフライデー。

わざわざ浜松町まで行って納付を終える。アトリエに戻る。乾きつつあるサンプルに目をやる。一着、ボタンホールが開いていないことに気づく。
頼み込んで再度お願いし、今朝いた場所へ急いで向かう。作業を待つ。汗はドシドシ迫り来る。椅子を勧められたが、断る。汗ほとばしる。
今年初だろうか、耳たぶにアセピアス。衿足にアセツララ。Tシャツにアセクサさ。

プレミアムフライデー。

と、一通り「今日は僕頑張りました」自慢をしたが、明日発表するアイテムたちの制作に於いて、今日の頑張りは無関係。上記はただの、僕の段取り下手を自白することで、自身を救済しようとする話。




さて、今回、いかにして「雑に見えるよう」に作るか、が命題の一つだった。
世の一流シャツ職人たちが一針一針丁寧に、神経を使い、ドレスシャツに仕立てられている生地、例のカルロリーバ。

それを、よく吉祥寺とかの古着屋の店先で、投げ売りされてるワークシャツ。アメリカの、工場から支給されたようなやつ。胸にFordとかCoca-colaとかワッペンついてるやつ、あのシャツ。それに仕立てた。全部ミシン縫いで。もちろん運針は大きく。
縫い縮んだステッチは、さもマニカカミーチェのギャザーのように美しい。


もう一型は、20世紀初め頃のだろうか、フランスの牛飼いのインディゴスモック。この前、ヴァンプの蚤の市で見つけてきたやつがモデル。この時代、手縫いは当たり前で、これもやはり手縫いが多用されているのだが、やらない。古着の再現がアンスナムの表現方法ではないから。めんどくさいし。ネック以外はミシン仕立て。もちろん運針は大きく。
縫い縮んだステッチは、さも手絞りひだプリーツかのように美しい。

このようにして、雑に仕立てられ、洗われたシャツ。適当に扱い、素材の味を。


この生地は、繊細で、ほころびやすいとも言える。その時はいつものように、持ち込んで。別の生地を当てがったり、刺繍したり、ワッペンを付け足したり。
赤ちゃんがいつも離さない「お包み」のように、とろとろのボロボロになっても離さない、あの感じに。


全て受注生産です。
多分、7月頃アップ。
ワークシャツは色々カスタム可能。ご相談承ります。65000円くらいから。
牛飼いスモックは75000円くらい。
ロンバルディで直球のドレスシャツの制作も可能。これは、高い。





PS
何か忘れている。そう、Bonfanti。今回は、その、段取り下手のせいで、間に合わなかったわけで。。。