この時期のニューデリーはこのように、大気がトンデモナイ事になっている。見て、500満点中の488点。成績ならば、めちゃ優秀。けどこれ汚染度だから、めちゃ有害。体感は、なんというか、きな粉をハフっとひとつまみ。口の中がもっさりとする感じ。目もチリチリする。けれどインドの民たちは普通に生活している。マスクもほとんどしていない。つまり大丈夫なのだ。
霞掛かって、むしろ印象的できれいな景色。
さてそんな初日の朝、まずはブレイクファースト。ホテルの朝食。
おいおい、美味しすぎるぜインドさんよぉ。朝から調子に乗って、ほとんどのメニューをおかわる事2回。満腹にして、工場さんへ向かう。
仕事は、「あれ、これってわざわざ会ってまで確認する事じゃなかったな…。インドに来た意味あるんけ?」って感じで、ソッコー終わる。
そして昼飯。インド出張の目的は、食事7割。そして仕事が3割って感じで渡航してますので、気合い十分。
この定食、ものすごい量が来る。けど、その辛みと旨みと酸味の三位一体は、ドムの攻撃ジェットストリームアタックのそれである。激うまなんです。
さらに僕は、通の中の通であるからして、スプーンはカレーを掬ってライスにかける用。口に運ぶのは、もちろん、手。スプーンで食べるよりも確実に美味しいんです。嘘だと思うでしょう、けどホント。おにぎりを箸で食べる時と同じ感じ、と言えばわかって頂けますかね。
時々の唐突に、襲ってくる激辛にヒィヒィ言いながら、ライムジュースでそれをカバー。さらにガツガツと、スルスルと、カレーを胃に流し込む。
誰某が「カレーは飲み物」と言ったけれど、確かにそれはその通り。
満腹でホテルに帰り、しばし休んだあと、仕事を少しこなす。
夕方になり、僕はいそいそと着替える。そう、運動するんだ。
イヴ・サンローランからはじまり、トム・フォード、さらにはリック・オウエンスと、デザイナーたるもの、自分自身のボディメイクにも追求の手を緩めない。もちろん僕もそんな1人だ。一日にして成らず、だ。
なんならホテル選びの時からフィルターで「ジムあり」を掛けていたのです。意識高すぎ高杉くん。
ではいざ、ジムへ。
せっま笑。
広さは2畳。設備はランニングマシンとダンベル、以上。
まぁ、いい。僕は有酸素運動がしたいだけ。普段はエアロバイクだけど、たまには走るのも良かろう。
いざ、走り出してみると、いささか、ぎこちない。だってチャリ専門で、あんま走らないんだもん。
まぁ、いい。久々にサッカー部の頃を思い出すのも一興だ。
10分ほど走って、ふと気になった。
ここ、空調設備、ないな?
ということは、あの488点/500点の大気の中で俺は走っているのかな?
たしかに、ずっとさっきから、口の中にきな粉の感じあるし、目もチリチリみちる。けどさ、「都内のど真ん中のマラソンは、しないよりも健康」って何かで聞いたことあるし、とりあえずたくさん汗かいて、30分走った。
脂肪燃焼。シャワーを浴びても、カラダの火照り冷めやらぬ。
引き締まったマイボディ。躍動するマイブラッド。
ゆったりと寛ぎ、日本から持ってきたポテチをかじり、それをキンキンに冷えたビールで流し込む。
充実感とはこの事だ。
ゴロンとベッドに横になる。まぁ、ちょっとだけさ。
目にはコンタクトを入れたまま。まぁ、ちょっと目を閉じるだけさ。
薄着のまま。まぁ、、、。
、、、あれ、なんだかちょっと寒いなぁ。
朝になる。
あれ…。胃が痛え…。身体が痛え…。頭が痛え…。胃痛と風邪のW攻撃か…。
これ、やべぇ…。
あなたの風邪はどこから?と脳内の綾瀬はるかが聞いてくる。
うるせぇ…。
この胃の痛みは、太田胃酸系の痛みではなく、ガスター10系の痛み、つまり胃潰瘍系だとすぐにわかった。そう、私はすでに胃痛ベテランの域にいる。
これ系の痛みは、かれこれ7回ほど起こしてる。黒澤明監督の「生きる」の志村喬の時代じゃなくて本当よかった。当時は死の病だったのだから、ゾッとする。
もし僕がその時代にいたら、きっと「七回の弔い」になっていただろう。
しかしながら、今回の旅で、僕が持ってきたのはビオフェルミンSと、二日酔い用の薬だけだったので、ここはとりあえず我慢だ。
これしきのことで休んではいられない。わざわざインドまで来て、病欠なんぞ出来ますか、出来るわけなかろうもんっ。
筋肉のこわばり、関節のキシみ、頭痛もひどい。もちろん朝食なんて食べられない。
胃をさすりながら、満身創痍でホテルを出る。
そう、お父ちゃんは仕事に行かなきゃならない。故郷の家族が腹を空かして待ってんだ。冷や汗をかき、痛みに顔を歪めながらも、僕は蟹工船、もとい、uberタクシーに乗り込んだ。
工場さんは優しくて、アユールベーダの薬をくれた。ありがとう、けど多分これじゃない。これは太田胃散系だ。もう一つ頂いたインドのポカリみたいなのはめちゃ美味しくて一気飲みした。こういうのほんとうれしい。
さらに、もう一件。生地屋さんを見に行き、本日は終了。
サラッと流したけど、この日のタクシー移動時間は合計で3時間半。朝9時に出て、夕方16時戻り。グッタリだ。
ホテルに帰り、土埃とPM2.5、さらに汗と涙をシャワーで洗い流し、ベッドに倒れる。この日、口にしたものはアユールベーダの薬とポカリと水のみ。
食欲はゼロ。身体は依然重くて、薬局へ行く気力も体力も、もうない。
じっとりとイヤな汗が流れるままに、お腹をさすりながら眠りにつく。
翌朝、薬局へ向かう。ガスター10のインド版。ショッピングエリアに宿を取っていて、本当によかった。
…これは、現実世界に行くか、マトリックスが作り出した世界に残るか、のどっちかの薬ですよね?
特に青はダメだよお。青はそもそも毒の色だから、この色のものは食べちゃダメって生物の授業の時に教わらなかったっけ。
けれど背に腹(胃)は変えられず、エイヤと飲み込む。すると、どういう事でしょう。嘘のように痛みが引いていく。昨日無理してでも買いに行ってればよかったぁ。
しかし、まだ食欲は戻らず。
この2日間で口にしたのは、水と数枚のクラッカー。
多分だけど、青唐辛子が原因かなぁと思う。ハラペーニョ。僕は大好きなんだけど、日本のスパイシーモスバーガーのハラペーニョでさえ、激しい腹痛を起こす。そういえば、色んなカレーやら、なんならサンドイッチにも、これ入ってたわな。
なので、ここはもう、私はカレーを諦め、今回のインド滞在中は、断食ダイエットをしようと心を切り替えた。そう、ブッダの解脱である。
ところで、いつの間にか風邪の症状も軽くなっていた。
ふと、先日のジムのランニングマシンを思い出した。
もしかして、あの痛みは、ただの運動不足による筋肉痛だったのでは…。
やはり、慣れない運動なんてするもんじゃないな。