朝、というか未明、というか26時、目が覚める。まだ昨夜のワインが残ってて、だからもう一度寝れるかと思いきや。目は冴える。冴え渡っている。絶望を覚える時差ぼけ。一階のバーから夜通しで、音漏れしてるイケてるミュージック。
一睡もしないまま、ジッとしたまま5時になり、ベッドを出て、支度して、チェックアウト。始発のユーロスターで倫敦へ向かう。
列車が動いて早速に、昨夜、海苔と味醂で物々交換して得た、巴里の菓子パンをナップサックから取り出す。現地友人がわざわざ買っておいてくれたもので、これがとにかく非道く美味い。コーヒーをすすりながら、フランスの田園風景にぼんやりと目をやる。
旅情さ。
倫敦でも早速に、イケてる若者系ユースホステルにチェックインし、荷物を預けていざ仕事、なのだが何だこの虚無感は。
ああ、これはきっとさっきレセプションにいた、若い男女のグループが眩し過ぎたんだ。あの頃に戻りたい、と思ったが、あの頃僕はああいうグループに属してなかったや。てへ。
FOSTER&SONとの打ち合わせは、お互いにとって新しいことに取り組む故、なかなか楽しかった。無茶なお願いかと不安だったが、思えば彼らは100年以上に渡り、顧客のわがままと自身の誇りの中で、ビスポークシューズを作り続けている、いわば大先輩。大いにその胸に飛び込もうぞ。
そして、その後に向かった、とあるお店。ずっと行きたかったその店は、Hyde Parkそばに居を構え、上述の男も大好きだと言っていた。そこでも運命的というか、私の「引き」が強いというか、素晴らしい出来事があったのだが、その紹介もまた、もう少し後の話。
そして夜は、平野史也氏との会食。お互いの服作りに於ける哲学、社会的に自身が貢献できる事柄の模索。表面に現れるその造形は違えど、根底にある我々の情熱は同じだと再確認できた。
とか、そういうの書けたらいんだけど、そんな話は一切してないし、そもそも考えたこともないから出来ないし。会った瞬間から顔はヘラヘラとだらしなくニヤけ、ただひたすらにビールを飲み、ロクでもない無駄話をし、美味しいワインを空け、ケタケタ笑い転げる。以上。
チャイナタウンで買ったタピオカミルクティーをゴボゴボ啜りながら。