#137 Sebastian Tarek Shoemaker Trunk Show 14th~16th July

Jul 13, 2018

セバスチャン=タレク トランクショー 明日からスタートします。
よろしければ是非。

ここに、タレクが仕立てた僕の靴。オーダーから1年を経て、完成。
カメラにこの具合が映るか否かわからないけど、このディテールを見て欲しい。紹介したい(自慢したい)。

研鑽された技術の先にある自己の表現、というものは、実になかなか手に入るものではない。そこに到達するには、努力が必要なのではなく、生まれながらにして持つ天賦のもの、神様がいるならその神様からの恵み。それを持ち得なくして、人の心に衝撃を打ち込むことはできない。これはきっと、ピアニストや演奏家の系譜に近い。正確に譜面を追ったその先にあり、自身の中にある。


なるべくにベーシックに。僕が頼んだのは1940年代のラインを展開させたプレーントゥの内羽根、黒のオックスフォード。普遍的な形にする事で、タレク本人の持つその表現力を、炙り浮き立たせるには判りやすい。

アッパーの材料はベジタブルタンニンの馬、の脇腹の部位。タンナーはディケンス。通常使用する箇所ではなく、毛穴の開いた皮膚だったり、成長の中でついた傷。感覚が残る部位。よく見ると靴の側面に、その毛穴の跡が泥の飛沫のごとく、ただれ残っている。それに対してトウはというと、繊細に磨かれ、生々しい光沢を放ちながらも、側面の波長との間に、異物感はない。タレクが、その1つの靴の中で、その1つだけのための純正律で調律を施した事がわかる。

靴紐は麻紐にコールタールを染み込ませたものを使用しており、ロープ染色の剥離するような質感があり、また、結び目が解けることのない利便性を含んでいる。
ソールは、オークや白樺によりピットタンされた、イギリス西部はベイカーの厚革ヌメを用いて、底付けし、その仕上げによって、完成する。アンティークの趣を目指すでもなく、一分の隙もない伝統の完璧を目指すでもない、刷毛目の残る底面とエッジィなヒールのカーブとフィルドバック。
紛れもなく彼独自の世界。彼ひとりきりで創り出すからこその和音だ。その美しさ、恐ろしさの一種と言っていい。


次回
『新型の靴サンプルが来た!』『タレク、時差ボケ大丈夫か?!』『姪っ子ちゃんとのお泊まり会♡』
の三本でお送りしまぁす。