#128 Textile of ANSNAM, by ANSNAM, for ANSNAM

May 24, 2018

久しぶりに生地を作った。
このシダーを始めて以来、実はしばらくぶりのこと。職人さんから提案を受けたり、倉庫を潜ったり、ヨーロッパのビンテージを探したり。それぞれにそれぞれ唯一の良さがあって楽しく、制作の選択の幅が広がり、ここの生地群ほどにバラエティに富んだ場所はなかなかないと、我ながら、奥のイームズに踏ん反り返り、眺めて思ふ。

そして今また、自分の立ち位置に立ち帰らんとす。アンスナムの、アンスナムによる、アンスナムのための政治、あ、じゃなかった、生地。

楽しい。やはりめっちゃ楽しい。大袈裟に言えばまだこの世界にないモノを作り上げる作業。後先周りを考えずひたすらに突き詰める。

中心となる原料は、ジャコブヒツジ。起源はメソポタミアってWikiに書いてあるけど本当かどうかは知らない。旧約聖書に出てくるから、兎に角、紀元前なのは確かで、もうそれ聞いただけでゾクゾクしちゃう。で、そのジャコブを画像検索するとこれ。羊に角。


超絶カッコいい!またしても中2ゴコロにビシバシ来た。こんな姿してたら絶対に糸だってカッコいいはずだと即座に発注。見事にガッサガサのバッキバキ。写真のイメージ通り。(角と毛質はなんら関係ないけど笑)
ここでまず一度、ジャコブオンリーのシングルオリジンで試織。さすがにいいツイードが上がる。空気を孕み軽くてふわり、かつ跳ね返りのある、まるでビンテージのそれだ。このままでも充分に良かったんだけど、更に行こうと、踏み込む、思いつく所までを目指し、思いもよらぬ生地が出来るまで。
ここでリネンを混ぜてみる。その糸は以前に使ったことのある糸で、知ってる人もいると思う。わざわざ繊維の状態の時に粗くザク切りして、それから撚り、ツイードのような質感を作り出す。完全に頭がおかしい、あの糸。
そのリネンとジャコブを撚り合わせる事で、質感を捻じ曲げ、質量を引きずり上げる。

これで行ったろうと、試織を依頼。来る。…また依頼。来る。……また依頼。来る。………また依頼。来る。はい、きた。
気付けば目付け(1㎡あたりの生地の重さ)は850gを越え、当初の想定なぞは値段も含めて遥か彼方へ。そして、出来たのは、眺めてるだけで時間を忘れる生地。
これを使って、コートを二型仕立てました。福岡で披露目ます。
まだ弱冠スケジュールありますので、宜しければ是非。お待ちしてます。
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