かのミケランジェロはこう云った。
「私は大理石の中に天使を見た。
そして、その天使を自由にするために彫ったのだ。」
わかる、わかるよミッケラン。そういう事はよくある事さ。
この生地のスワッチ(たったの10cm×10cmだったが)を見た途端、
僕もそこに天使を見たんだ。
その生地は、はるか遠くのイタリアの、例のビンテージ生地を取り扱う爺さんの店から
送られてきた代物で、そのいくつかの生地の中でも特に、これらは異彩を放っていた。
カルロ=バルベラのsuper 100's。
super 100's。スーパー100ッス?(いまだになんて読むかわからない笑)
紡績技術はいまだ進化を止めず、どこまでもどこまでも極細を目指してて、
super 100'sなんぞは、若者向けのセレクトショップでも採用されないような、
むしろスペックとして謳わなくてもいいような、そんな数値。
この昨今、SNSの浸透により様々な価値は、その数や言葉の説明で、
わかりやすく型取りされてる。
まぁ、それはしごく当然で、確かな共通言語の指標の一つだものね。そこに安心を置ける。
しかしながら、この生地は明らかに、その数値では測りきれない、
計り知れない素晴らしさがある。
まるで、あぜ道の野に咲く「田ぜり」のような、繊細でほろ苦く、上品で爽やかな味わい。
そんな感じ。(今年こそ、山梨のあそこへ摘みに行こうと、心から想う)
スペックを見ずして、最良を味わえた時、
人生の豊さや面白味は、さらに広がるのではないかと思う、なんてね。
なんでこのスペックでこんな上質なのか、その良さについては諸説あります。
けれど、それについて根深く掘り下げるには、やや時間が惜しいので飛ばします。
だってこれ、ファッションだもの。みつを。
本当にかっこいいものには、是非もなかろう。
そんなわけで、そんな生地を、一片方向の総バイアス仕立て。ドレーピングを味わい尽くす。
軸とするネックや肩はジャストサイズ。
けれども身幅はゆったりさせて、脇下もたっぷりと。
するとコートのような不思議なシルエットが覗いたり。
イタリアの伝統的な紳士服地に敬意をはらい、共に遊ぶ。そんな感じ。そんな天使。
少し厚手のニットの上に羽織っても大丈夫なボリュームで作ってますし、
薄手のカーディガンがわりにもなりますし。
バッグの中に丸めて入れといて、シワクチャも良いし、
洗濯機でジャブジャブも良いでしょう。
サンプルのようにバンドカラーでも良いし、普通のシャツカラーももちろん。
生地は他にも色々あります。ボンファンティの綿シャツ地も絶対良いです。
ストライプとか。初夏に絶対やりたい。
そんな自由な、梅の咲く春の服。(納品は桜の頃だけど)
ブルーヘリンボーン
価格:¥95,000+税 (綿シャツ地の場合、¥72,000)
納期:一ヶ月
採寸:可能(アップチャージあり)
ディテール変更:可能
通販:可能
*写真のカルロ=バルベラの2種類の生地は、数に限りがありますので、お早めに。
なんか写真暗くなっちゃったけど、結構明るい色味です。
陽のあるうちにご来店くださいませ。