シュワーキマーセリー
キリストの降誕。The Nativity
これほどまでに、これを紹介するに相応しい日もなかろう。
去年、象嵌職人である望月さんにお越しいただいた際、とあるお客様から特注オーダーが舞い込んだ。「バッグにぶら下げるアクセサリーが欲しい。キリストの右腕のモチーフを象嵌で。デザイン、材質はおまかせで」
無茶言いやがるぜ。
それからの僕と望月さんは個々に、そのアクセサリーの土台となる材料探しを始めるのだが、それは困難を極め、僕は簡単に諦め、望月さんからの知らせを待つ役に徹した。
しかし、ドンダケ待っても、イッコーに望月さんからの連絡はなく、このまま何も見つからず、オーダーがマボロシとなって流れてしまうのではと、心配が頭をよぎった。
そして、お客様にもほんのりそれを匂わせ伝えた頃、連絡が入った。
そして、お客様にもほんのりそれを匂わせ伝えた頃、連絡が入った。
いいブツが手に入りやしたぜ。
それから完成するまではそう時間も要さず、さすがは望月さんだなと。
そして出来上がったのが、こちら。
この鈎のような形をした板は、トスカーナのアンティークマーケットで見つけた古い鉋(カンナ)。キリストの父ヨセフは大工であり、今でも神聖なシンボルとして使われることもあるそう。そんな鉋。この凹みもデザインではなく、元からこの形をしていて、ここに刃を入れ、使っていたそうだ。
そして、先述したキリストのイコンでよく描かれている右腕。これを象嵌で彫り入れてあるんだけど、指の節や影など立体的に表現すべく、木の材質を変えたり、木目を変えたり、うすらに焼き焦げを付けたり、この小さな世界の中に、望月さんの緻密で深い技術が盛り込まれている。
そしてバッグとアクセサリーを結ぶ紐。これは、東方の三賢者、あるいは三位一体をヒントに三種類から構成してて、解けることのない編み止めをしてあるのはGUIDI社のベイビーカーフ。そして純度の高いシルバーの数珠。さらに、馬の体毛を紡いだ毛糸は、キリストの生まれた馬小屋をイメージして用いている。
デザインや材料、その全てを偶然の中から探し集めたにもかかわらず、ここまでコンセプチュアルに、かつ一貫性のあるものが仕上がるとは。そしてさらに、静謐でいて、でもそのストイックさが呪いに変わるような狂気も表現されており、実にいい。
完璧すぎる。完璧すぎて、アタシ怖い。自分が怖いワ。(ほぼ何もしてない笑)
そんな僕だけど、今年も独り。イブに独り。咳をしても独り。
メリクリ。
あ、年内は31日16時までやってます。
そんな僕だけど、今年も独り。イブに独り。咳をしても独り。
メリクリ。
あ、年内は31日16時までやってます。