#136 SMITH&NORBU

Jul 6, 2018

SMITH&NORBU(スミス アンド ノーブ)
ベルギー人デザイナー ブノワ=アムズ氏が手がけた眼鏡コレクション。
ANSNAM cederでの取り扱いが決まり、サンプルを作成し、ついに披露目という時。彼は心臓発作で突然に他界した。2017年1月2日。

時は遡ることアメリカ同時多発テロの翌、2002年。彼は単身バックパッカーとしてチベットを訪れる。そこで彼はチベットヤクと出会い、魅了され、のちにこのSMITH&NORBUをスタートさせる。
ちょうどその時同じくして、ヒマラヤ山脈を挟んだ西の向こう側、同じくバックパッカーだった僕。パキスタンはナウシカの舞台にもなったフンザで沈没。白い花咲く高原で、行く当てもなく、ダラダラと、モクモクと、過ごしては、メーヴェに乗って風と戯れていた。
こんなにも意識レベルの違う二人が、時を経て、2016年に出会う。

礼儀正しくもユーモアがあるという、絵に描いたようなベルジャン紳士。様々な経験を乗り越えてきた余裕と力強さがにじむ。
そんな彼の作った眼鏡は、先述のチベットヤクの角を用いたもので、ハンドメイドで作られたフレーム。それを磨きあげ、セルともべっ甲とも違う、独特の風合いの、生々しくも柔らかい光沢と陰影、その質感。決して奇抜ではなく、その人の個性を超えずして尚、個性を引き出す感じ。


突飛なフォルムではないけど、このほんの少しだけ膨らみがあったり、ほんの少しだけドロップしていたり、ほんの少しだけ厚みがあったり、ノーズパットの繊細さもいい。そういった小さな意識の積み重ねがこの眼鏡となる。


実は、彼の死後、発表しようかずっと悩んでました。だって、デザイナーが亡くなってる。存続はもちろん、ブランドのアイデンティティーが失われ兼ねない。そんなブランドを皆さんに紹介する責任を負わねばなるまい。なので、まずは見守った。残されたアトリエと職人さん。そして奥さんのアイリーン。
幸運だったのは、生産を彼女がマネージメントしており、職人が離れなかった事。そして、ブノワのデザインが全てデータ化されて残っていた事。そして、アイリーンがちゃんとブノワの意思を継いでいた事。

というわけで、SMITH&NORBU、スタートします。

今回はこの形をメインにし、すぐに購入いただけるよう、ストックのご用意あります。
また、お好みの色味やサイズ感、フォルムの変更など、オーダーメイドも可能です。その辺の話はまた後日。