#41 ANSNAM ベルト 「猫のしっぽ カエルの手」

Jun 24, 2017

京都大原でもなく、ベニシアさんでもないけれど、何だか同じ匂いのする家の佇まいとお人柄。
ここは生田。小高い山の中腹にある。ANSNAMのベルトのバックルを制作してもらっている伊藤敦子さんがいる。絶対、ハーブとか好きだと思う。


初めて会ったのは、私がまだ渋谷松濤にいる頃。たまたま銭湯の帰り、濡れ髪ツヤるなか寄った、本屋で展示をされていたのが、キッカケ。何だか、いい感じだなあ、と連絡先をメモして、後日コンタクトを取った次第。
話してみると、共通の友人が多いことに驚き、なんともはや、奇縁だなと。

1990年、彼女はフィレンツェにて、彫金を学ぶ。それから3年してご自身の創作がスタートする。純銀にほど近い950を中心に、薄くて繊細なレディースのアクセサリーを多く発表されてる。と同時に、まるで溶岩石のようにザラつけた、鋭利で、焼け焦げたような表情を持つ加工もあり、面白い。その対比が、彼女の中で均衡を保っているというのが興味深い。カオスとコスモス。混沌と、、、なんだっけ、秋桜?違うか。


そんな彼女のアトリエを訪ねてみた。
鶴川街道から脇に逸れる、1m満たない幅の小径に入り、畑を抜けて、坂を登る。絵に描いたような素敵空間。THEアトリエ。

今回の依頼は、繊細で、儚い少女性(秋桜っぽさ)を残す伊藤さんのものづくりに対して、真逆の、あえて物量的な凶暴性というか荒っぽさ(カオス)をぶつけてみた。
普段は1ミリにも満たない薄い銀板を扱っているところを、今回は5ミリ厚の銀塊で。
作業の大変さは、申し訳ないが、見て見ぬ振りを。その大変さを気にしてしまうと、頼めない。ここはひとつ、アッケラカンになる。


彼女の加工がまた非常に興味深かった。シルバーの下に石を置き、焼く。ひたすら炙って良い影が出てくるのを待つかんじ。その影は、下に置く石の種類に依っても変わるし、その日の気温や湿度に依っても変わってくるという。
前の作業の記憶みたいなのものが、金属に蓄積されたり、冷ますときに若干水を使うかどうか、など様々な条件が重なって浮かび上がる文様。
それはきっと、緻密な計算をして影をつけているかと思いきや、「私もなんでこうなるのかよくわからないのよぉ」というズッコケアンサーが返ってくる。が、きちんとニュアンスを表現してくれるあたり、その実は丁寧に、繊細に作り込んでるんだと思う。



具合のいいバックルができたと思う。らしさが滲む。彼女の新しい一面、或いは、すでにそこにあったものの新しい解釈面というか。


この写真からは分かりづらいかと思います。
手に取って、重さを感じて、指の腹でなぞる。質感をみてもらえたら。
そして経年に依る色味の変化も、楽しみの一つ。

ベルト、革の本体の話は、また今度。
とりあえず、本体は総手縫い。GUIDI社ベイビーカーフ。あ、で、つい最近に手に入ったんだけれど、DU PUY社のカーフもやります。手に入ったばかりでサンプル作ってないけど。革は置いておくので、店で確認してください。GUIDI社との重ね合わせも可能です。
DU PUYのしっぽ GUIDIの手」



バームクーヘンが食べたい。

と、ブログに書いたら、早速お土産で買ってきてくれた武田さん。素敵。

治一郎、ユーハイム、ねんりん屋。いつでもウェルカム。
伊勢丹にある青白の、なんか変な長い名前んとこは、あんま好きくない。


価格:本体の長さや素材によって変動します。お問い合わせください。



ANSNAM cedar (アンスナム シダー)
108-0071
東京都港区白金台5-13-14 2階
定休日:火、水
営業時間:12〜19:00


tel: 03-6721-9192
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