#169 Macaroni Western Vol.1 MANNAS シャツ

Feb 7, 2020

洋服をデザインする方法というのはいくつかあるんだけど、専門学校の頃、なぜか先生たちはその具体的な方法を教えてくれなかった。デザイン専門学校の七不思議の一つである。
もっと形式的に分類して整理、活用できるのに、とかく形而上的に、まるで霞の向こうの花を摘むがごとく、天才のみぞ知る神秘の手法として扱われ、温存されたまま、それを見ることなく僕たちは卒業していった。なんだったんだ。

そんな天才ヤスシが、今回のアイテムを作るにあたって、幾多あるデザイン方法の中から選んだのは、「ダジャレ」だ。秘儀である。
アートからのインスピレーションや、過去にある服のアーカイブ、はたまたコラージュでもない。具象イメージのないこのやり方は、言葉遊びを起点とするデザイン展開。例を挙げるならば、マルタン=マルジェラ やキャロル=クリスチャン=ポエルなどが多用した。知らんけど。

さて、僕が今回選んだダジャレワードは、題名にもある通り、「マカロニウエスタン」がそれ。
アメリカの西部劇をイタリアで作る。その感じで、アメリカのワークシャツをナポリの老舗カミッチェリアがフルハンドメイドで作る。
イタリアの立体的なドレスシャツにはあり得ない、人の体ではなく縫製効率を最大限に意識して作られた、アメリカのワークシャツのパターン。それをナポリの職人さん達のゾッとするほどに綺麗な手仕事で作ってゆく。以前と同じハンド比率で、全ての巻き縫い、裾のロール、衿付け、ヨーク、アームホール、ボタンホール、などなど。身体の美しさ、心地よさを追求して発展したその縫製技術を惜しみなく、アメリカのクソみたいに平面的な型紙に注ぎ込む。大御所の演歌歌手が歌うポップソングといった感じ。
サブちゃんが歌う「踊るポンポコリン」。何このおじさん、歌めっちゃウメェ。。。そんな感じ。

とにかく、いささか乱暴すぎる組み合わせではあるけれど、それがこの「ダジャレ」手法の利点であり、強引な展開は功を奏して、なんとも不思議なニュアンスのシャツが生まれた。
製品洗いして、揉み込む。ハンドステッチがクシュリと風合いを豊かにし、丁寧に織られたボンファンティの生地は、柔らかな陰影を作る。
なんて楽しいんだ。
価格:¥55,000~(ボンファンティの場合、¥62,000) +税
納品:5月末
サイズ:S,M,L,LL (採寸も可能ですが、追加料金が発生します)
大人の事情により、今回からブランドネームがMANNASに変わります。