今から18年くらい前、パリはモンマルトル。
白いサクレクール寺院のそびえる丘が有名で、映画「アメリ」でも印象に残っている人も多いと思う。その麓。
なんと、治安クッソ悪いの。
当時22歳の汚れなきバッグパッカー、純真無垢みの靖。降り立つやいなや、売人から声掛けられまくり。これもパリなのか。そこにはもう、ピカソやコクトーらの芸術活動のカケラさえなかった。
そんな街を散策してて、ふと入ったお店。それは、「The Salvation Army」。
救世軍の慈善団体が、寄付されたものを集め、販売してる。いわゆるリサイクルショップ。商品の99%はイケてないけど、ごく稀にメゾンブランドや、ビスポークフルハンドのものがあったりして、普通の古着屋を見るより楽しかった。激安だし。
で、この時もふらりと入店。何気なく手に取ったシャツ。手触り、明らかに良い。形、異様。ブランド名、なし。サイズ、大きい。値段、5ユーロ。買うよね。
けれどその後、旅の途中で袖を通したのは一度だけ(パキスタンの峠越えの際、泊まったテントが死ぬほど寒くて、リュックの中の服を全部着た。震えて眠ったその夜)。帰国してもずっとタンスの中だったけど、ついに今年の春に引っ張り出した(洗濯をサボり、他に着るものがなかったその朝)。
え嘘、かわいいじゃん。
というわけで、そのシャツのサイズ感を基に、さらに変形異形なパターンも基にし、シャツ、作りました。当初、レプリカのように型紙をコピーしようとしたけど、めんどくさくなり、久々の立体裁断。気づいたら少し違うものになってた。けどま、それでいい。
サイズは、XLかXXLという感じだと思う。袖も長いが捲ればいい。肴は炙ったイカでいい。
写真の、生地はイタリアのALUMO。身頃と袖ぐるりの一枚パーツだから、ストライプで地の目の変化が楽しめるってわけ。さらにエルボーパッチも付けた。後ろ身頃はラグランのような切り替えと、センタープリーツ。肩にはショルダーポイントに向けたダーツを差す。
もちろんこの前のネイビーのリネンや、浜松のエアリーなシャツ地もいいと思う。トーマスメイソンの太めのロンドンストライプなんかもいいはず。
ゆったりサイズなので、これから始まるクソ夏でさえ、風が抜けます。
今週末にオーダーいただければ、7月末に上げます。やります。頑張ります。
サイズはこれと、5%小さいのも。
¥55,000くらい。
明日から。