毎回のフィレンツェでここの工房にお邪魔するのが一つの楽しみになっていて。この前の時もそうで。
ホテルから、いや、cedarのアトリエからだ。グイディのベイビーカーフを丁寧に、巻いて担いで羽田まで、それからのフィレンツェ。
長さ150cmほどのロールは紙に巻かれて。まるで絨毯を運んでいるかのような、一人だけなぜかのトルコ感。エキゾチックアジアンヤスシ in フィレンツェ。そんな感じでホテルから、サンタ=マリア=ノベッラの教会脇を通り、アルノ川を渡る。ちょうど紳士服の祭典、ピッティウォモが開催中で、伊達男たちが闊歩しているその中を、ヤスシが通る。そうさ、俺の着てるのはコヒーレンスのシルクシアサッカージャケットさ。多分、橋渡る時、俺、絵になってた。多分、俺、写真撮られた。絶対、俺、カッコよかった。
そうして気づけば汗だくで。そうして辿り着いた工房。この持ってきた革は次回用のオーダーの。それを下ろしてやっと一息。いつも少し早くお邪魔して、彼が作業しているのを眺めながらに、近況報告しながらに、冷たいビールを頂いちゃう。彼にとっては邪魔以外の何物でもないのだが、最初に書いた通りに、この時間が好きで。この時は、奥様が行商のおばあちゃんから購入したという、絶品のアーモンドをつまみに出してくれた。えへへ。
そんな感じで上がってきたサンプルが、これです。
前回の黒のバッグの一回り小さいサイズにして、色はヌメ。もちろんグイディのベイビーカーフ。
この革、この赤みの焼け具合は1年以上寝かせた、言わば熟成ベイビーカーフ。ウチに来たことある人ならご存知と思うけど、階段の手すりに掛けてあるアレ。階段の昇り降りの時に、軽く手で触ったり、直射日光ではなく、透ける杉窓を通った柔らかい光を、白い壁がさらに馴染ませる、そのほのかな光に、当てる。
通常のヌメの色に比べてトーンが落ちたこの革に、麻糸の生成りの色が映えている。そのオフホワイトが案内線となり、彼の特徴であるその立体感が浮かび上がり、息が止まるほどに美しい。そして、ベイビーカーフの木目の細かさと、そのラフに焼けた肌に相まみえる。
明日から。
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