すみません、前述の通り、オーダー期間は今週末まで。よろしければ是非。
さて、このPコートというアイテムは、ブランド立ち上げの初期から作ってて、スーツや白シャツもそうだけれど、このピーコートは唯一の定番と言っていい。私にとって思い入れの強いもの。
私のPコート歴は、中学生の頃までさかのぼる。九中の指定が確か、ピーコートかダッフルコートだったからで、それ以来ずっと。一度たりともダッフル、ましてやダウンなんぞに浮気したことはない、純情一筋まっしぐら。ピーコートを着たリバー=フェニックスの「マイプライベートアイダホ」の写真の切り抜きを部屋に貼ってたくらい。私の冬は、毎日がピーコートと共にあったと言っていい。
ちなむと、毎朝の登校前の日課は、ピーコートに付いた、チャコちゃん(学生時代に家で飼ってた猫)の毛をガムテームで取り除くこと。猫は大好きなんだけれど、あの抜け毛だけはちょっとキライ。あ、けど、それを差し引いても、やっぱり猫が好き♡寒い夜に添い寝してくれるとか、もう、ほんといい♡
そんな寂しい学生時代だったが、その実は、一度たりともピーコートに満足した事がなかったのも本当。アメリカ軍払い下げのピーコートしかり、今はなき府中本町のイトーヨーカドーしかり、素材、サイズ感、シルエットなど、どれを取ってしても、全てに納得のいくものがなかった。
だからこそ、これを作った。毎シーズンにつき、気分に合わせて少しづつ改良、あ、いや、すでにその時の自分なりの最高を作っていたわけだから、「改良」じゃぁない。時々の気分に合わせて「変更」をした、が正しい。
そして、ピーコートに於ける、大事な根幹は変わってない。シルエットは変えてないし、生地も変わってない。あの時、垣田さんと一緒に仮縫いした風景を今でも覚えてるし、この生地で上がってきたサンプルの具合の良さに、感動したことを今でも覚えてる。我ながらこれ、完成度が高いの。
今期のこのピーコートの変更点、まず目につくのがボタン。前回のコクタンから牛角に。(焼肉ちゃうで、水牛の角やで。)ザッと削がれたフラットな表面に2つの糸穴、極めて潔く、また、素材の力強い質感がある。そしてその裏面(手で触った時のみ、本人にしか気づかない箇所だけれど)は、角の表面の皮を残しつつ、さらにそれを少しえぐり取ってボタンの厚みを歪ませ、エグみを出す。…ん?意味わかんない?じゃ、よかったら店来て。
あとシルエット、ほんの少しだけ横にボリュームを出した。なんか最近、お腹が出てきたみたいなの。ポッコリンなの。自分の寸法を基準体型にするのもどうかと思うが、大丈夫。俺、元ミスターJIS規格。超Mサイズ、ドMなの。
あとは前回同様にウエストのダーツに滑り込ませたウォームポケット。袋布はコーディロイ(サンプルは普通の布でやっちゃった。商品がコーディロイに変更します)
腰ポケットはフラップのみ叩きつけて、ポケット本体は片玉縁で身頃の中に。
生地は、ちょっと内緒。カシミアとミクロンレベルで1か2しか変わらないタスマニアウールを原料にメルトンを。そっからが肝心だけど内緒。その組成が、この垣田パターンをさらに際立たせると言っていい。けど内緒。
ちなむと、このコートは立体裁断でパターンが製作されており、衿においては立ち上げた状態で一番いい形になるよう、線が引かれてる。ぜひ衿を立てて、着てみて欲しい。
中学生の僕にこのコートをあげたら、ぜったい大喜びするに当たり前。チャコちゃんの毛が目立たぬよう、色はチャコールグレーがいいかな。そしてこれを渡す時、「もっとちゃんとしっかりしろっ!」と喝を入れてやろう。そしたらきっとこの今の、あの未来は変わってるはず。
宿題とかちゃんとやってタラ、しっかり自己管理してレバ、きっと今ごろ生産管理だってバリバリやれてたはず。サウイフモノニ、ワタシハナリタイ。
現金出納帳さえ、まともに付けらない現実に今、打ちのめされている。
価格:ロング¥97,000- ミドル¥95,000 ともに税抜き
サイズ:01,02,03,04
色:チャコール、黒、ダークネイビー
納期:12月初旬
受注受付:今週末まで
ANSNAM cedar (アンスナム シダー)
108-0071
東京都港区白金台5-13-14 2階
tel: 03-6721-9192
info@ansnam.com
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