#27 ヨーロッパ紀行 スウェーデン後編

Apr 3, 2017

凍った河のほとりにある一軒のタンナー。

今回の旅行出発前にチーバ君がネットで見つけてくれたこのタンナーは、創業1899年。白樺のチップとこの河の水のみを使用する超絶シンプル、完全に自然な技法で牛皮を鞣す。さらにその革を用いて、二階の職人さんが、スウェーデン王室御用達の鞄をハンドメイドで作っている。
その鞣し工程は、通常の3倍の時間を要し、一年がかりで革にしていく。
それを、三代目の御年70歳のこのお爺ちゃん(ジョン=マルコビッチ似)が、ほとんど一人でこなしている。私も少し体験させてもらったが、これは非常な重労働。
 
そうして作られたヌメ革は、異彩を放つ。明らかに、強い。そして優しい。お爺ちゃんの持つ鞄の、経年の変化を見せてもらったが、いい、非常に。

あ、草津温泉の湯もみじゃないよ。

二階の工房ではその革を用いて、鞄職人さんがハンドメイドで作り上げる。
アンスナムでは、鞄そのものも扱わせてもらい、また、特別に革を分けてもらい、別のトリートメントをし、新しい物作りもしてみようと思う。でも、それもまた少し後の話。そういや契約もまだ確定してないし。


このタンナーのすぐ隣にご自宅がある。12時に着いて早々、気さくな奥様の、トナカイ肉のシチューのお昼をご馳走になる。おやつには絶品のチョコレートケーキをご馳走になり、夕方19時には、蟹とハーブのタルタルでサーモンのムニエルをご馳走になり、最高だったわけ。

凍死も免れないと思っていたその夜だったが、満腹満足の、老夫婦のあの、優しさに包まれたならきっと、温かい気持ちで、ストックホルムに戻ることができた。
で、あの時計台や街並みを見て歩いた。しかし残念ながら、かぼちゃとニシンのパイ包みは食せず。
下の写真は次の日の朝ね。

日本のお家に帰ったら、ソッコウで「魔女の宅急便」観るつもり。